保全の必要性の一般論②仮処分事件

 

仮処分には、係争物仮処分と仮地位仮処分がある。

以下、それぞれの仮処分の保全の必要性につき、一般的な考え方を述べる。

 

①係争物仮処分

係争物仮処分における保全の必要性は、仮差押えと比べて、抽象的なもので足りる。

仮地位仮処分の手続以外の手続によっては、当事者恒定効を取得することができないためである。

申立書には、以下のように記載する。

「債権者は、債務者に対し、●●請求訴訟を提起するべく準備中であるところ、債務者が本件物件を譲渡又は処分してしまうことがあるとすると、債権者が勝訴判決を得てもその執行が不能になる。」

これをベースとして、債務者が物件を処分してしまうおそれがある事情を付加する。

 

②仮地位仮処分

事件類型ごとに保全の必要性を検討していく。

仮地位仮処分は、満足的仮処分であり、本案判決を先取りするものである。

ついては、債権者に落ち度がなく、後の金銭補償によっては回復できない又は相当ではない損害や危険があることを疎明しなければならない。